難病サポートあゆむについて

「あゆむ」設立までの経緯

 

 近年の医療の発達により、多くの難病患者は治療を続けながら通常の生活を送れるようになってきています。しかし、その反面、体調の変動などから、日常生活や就労、就学に困難を抱える者は多く、その変動性や疲れやすさや痛みといった計測できない体の不調から既存の障害者手帳にはなじまず、手帳の対象外となり、必要な福祉サービスや就労支援が受けられない、あるいは障害年金の対象にならない、といったことが多くありました。このため、難病は「福祉の谷間の障害」と長く呼ばれてきました。

  平成23年「障害者基本法」の改正により、難病は「その他の障害」として法律上障害に含まれることになり、平成25年4月1日に施行された「障害者総合支援法」によって、具体的な疾患名とともに福祉サービスの対象となりました。平成2711日には「難病の患者に対する医療等に関する法律(いわゆる難病法)」の施行により多くの疾患が医療費助成対象となり今日に至っています。

 

 しかしながら、患者当事者は病気が障害とみなされるようになり福祉サービスが受けられるということや、具体的な支援の内容についてほとんど知らない現状にあります。これは、指定難病としての窓口が県(保健福祉事務所)、障害福祉の窓口が市町村ということから、手帳の対象とならない難病患者が市町村の障害福祉課を訪ねることが少ないことや、法律の改正について一般に向けた広報が殆ど行われていないことも一因であると思われます。これは、難病政策に関しては先進県として全国でも有名な佐賀県でも同様です。

 

また、従来より福祉サービスを行ってきた事業者も、法律上対象となったとはいえ、数多い難病の疾患にどう対応すればいいのか分からずにいるといった声もお聞きしています。

 

難病法で示された具体的な支援の整備に関しては、これから各自治体に任されることになっていますが、これらの現状を鑑みると、行政側の認識によっては大きく地域格差が生じるのではないかといった懸念も出ている(全国組織の患者団体等)状況です。

 

 「難病サポートあゆむ」は、佐賀県内で患者会運営をする膠原病友の会会長である江頭(「NPO法人アクティブ」理事長)と佐賀IBD(炎症性腸疾患)縁笑会副代表の秀島(「難病サポートあゆむ」センター長)の地域での患者会の在り方やこれから何をしていけば患者の最善の利益に資することができるか、といった話の中から生まれました。たくさんの難病といわれる疾患がある中、患者会として交流会など活動をしている集まりは少なく、ここ佐賀県では人口が少ないこともあって患者数が少なく、多くの疾患は患者会がありません。病気のことは家族でも理解が難しく、また偏見を怖れて病気であることを隠している方もいるなど、患者は地域で、また家庭の中でさえ孤立しがちです。しかし、同じように病気を持ちながら生活している他者と出会うことは、患者の生きる勇気や励みに繋がることを患者会活動を通して私たちは数多く経験してきました。一人ではないという実感が何よりの力となるのです。そこで、患者会としてだけでなく、様々な疾患を持つ方が気軽に立ち寄り、ホッとくつろげる場所はできないか、病気の話を気兼ねなくできたり相談ができる場所を作れないか、そういった話を重ねてきた結果、佐賀市における地域活動支援センターの事業申請に至りました。

 

江頭は十数年前より佐賀市内でNPO法人を設立、障害者にかかわる事業を運営してまいりましたが、既存の障害者施設や事業所であると難病には作業の内容が不向きであったり、また患者自体病気を「障害」とはとらえてないため来所に躊躇することが考えられました。そこで、事業所を「難病」と明記することで難病を持つ方も来所しやすく、その方にあった活動を選ぶこともできるのではないかと考え、「難病サポートあゆむ」と名付けることに致しました。

 

地域活動支援センターでは送迎も実施していますので、身体状況や経済状況等によって車の運転や公共交通機関の利用が難しい方であっても利用することができます。それにより、自宅にこもりがちだった方が家族以外の他者と交流することができるようになります。「難病サポートあゆむ」において様々な相談ができることで、これまで福祉の場に来ることのなかった方々にも、地域参加や自立に向けた支援を届けることが可能になります。これは、大きな県単位ではなく、佐賀市という患者の生活圏での事業であることによって、より具体的できめ細かな支援を可能にするに違いありません。

 

 さらには、難病の方に情報提供、情報交換の場として「難病サポートあゆむ」を利用して頂くことで、運営が難しい患者会の活性化や新しい患者会の発生が期待できます。また、このような活動により、当事者自らが自助・共助の力を育むことができます。そして、患者が障害当事者として繋がっていくことで、社会へ向け情報を発信したり、行政へ当事者のニーズを伝えたりといった障害者施策の中の難病施策に関わることができる人材が育つ素地ともなれるのではないかと期待しています。

 このように、長期的には未来に大きく夢を描いておりますが、基本は、地域にいらっしゃる難病の患者さんお一人お一人に必要な支援を届けることであり、「難病サポートあゆむ」の名前のとおりに、共に歩んでいくことを大切にしていきたいと考えております。